公正証書遺言作成のメリット

■遺言作成を弁護士に依頼するメリット

 遺言書を作成したいと思えば、自筆証書遺言(これは、遺言内容、日付、署名をすべて自分で書き、押印があれば成立します。)という形式で作成すれば、費用はほぼ0円で作れます。ただ、これでは、弁護士によるチェックを経ていないため中身の正確性は担保されず、財産関係や相続人関係が複雑な場合などは、死後のトラブルを防ぐという遺言書の効果を発揮することができない場合があります。作成した遺言書を一度は弁護士にチェックしてもらったほうが確実ですし、そうであれば作成段階から弁護士に依頼しておいたほうがより安心感が得られます。この安心感を得るというのが、弁護士に遺言書作成を依頼する最大のメリットであるといっても過言ではありません。
 また、遺言は何度でも書き換え可能で、最新のものが有効になります。昔に遺言を作った当時と現在では気持ちが変わっていたり、財産の内容が違ってきていることもあります。何年かに一度は遺言の内容を確認し、問題がある場合は、遺言を作り直しましょう。

■遺言書を公正証書で作成するメリット

 遺言書を公正証書で作っておくと、遺言書を公証人役場で保管しておいてもらえますので、紛失の危険がありません。もちろん、遺言書を手元にも置いておけます。

 遺言書作成時に遺言者に遺言書を作成する能力がなくなっていたなどの理由で、死後に遺言の無効が争われることがありますが、公正証書遺言の場合、公証人と証人が遺言作成に関与しますので、遺言作成時に判断能力があることが担保されており、このようなリスクが軽減されます。公正証書遺言を無効とすることはかなり難しく、余計な紛争の種を残しません。

 自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続をしてからでないと不動産の登記ができませんが、公正証書遺言の場合は、すぐに不動産登記をすることができます。

 遺言作成は公証人への口授(口頭)で行いますので、老齢などにより、文字が書けなくなっている場合でも作成することができます。一方、自筆証書遺言では遺言者自身が自分で文字が書けないと作成できません。

 このように、公正証書遺言には多数のメリットがあり、社会全体の信頼性も高いものですので、遺言作成は公正証書で行うことを強くおすすめします。

■遺言書作成は究極の紛争予防

 内容を吟味して作成した遺言書ほど、紛争予防に効果があるものはありません。いつでも、何回でも書き換えができ、古いものを破棄すれば、一番新しいものが効力を持ちます。現金預金が多くあれば、分けるのに苦労はなく、それほど争いにはならないかもしれません。反対に不動産が多く、現預金が少ない場合は、相続人間で揉める可能性が高くなります。相続争いは熾烈なものとなることが多いですが、たったひとつの遺言書で不毛な争いを防ぐことができるのです。

この記事を書いた人

弁護士多田大介

代表弁護士 多田 大介

依頼者との信頼関係を第一に考え、信頼関係に基づき、迅速なサービスを提供致します。おかげさまで大阪弁護士会に弁護士登録して今年で17年目です。趣味はSFやホラーなどの海外ドラマを見たり、歴史の本を読むことです。
代表弁護士 多田大介(登録番号31516)