借用書の書き方

お金を誰かに貸すときは借用書を作っておかないとトラブルの元です。友人間、親族間で貸し借りすることが多いと思いますが、金額の多寡を問わず、借用書を作っておきましょう。

借用書は簡単なものであれば以下のものが記載されていれば最低限の機能はあります。すなわち裁判になっても使えます。タイトルは「借用書」でいいでしょう。なお、「借用証」「借用証書」でも意味は同じです。

  • 貸主の名前(「○○殿」)
  • 借りた金額(「○○円をお借りしました。」)
  • いつどのような形で返すか、支払期限の定め(一括か分割か)
  • 借主の署名・押印(認印でもOK。実印と印鑑証明書添付なら最良)
  • 借用書を書いた日付(借主の自筆が望ましい)

そのほかにも、必要であれば利息の支払い条項分割払いを怠った場合の期限の利益喪失条項(「分割金の支払いを1回でも怠ったときは直ちに残金を一括で支払います」、支払いを怠った場合の遅延損害金利率の約定を入れておくとよいでしょう。遅延損害金利率の約定を入れない場合、法定の利率は3%になっています。なお、一括払いの場合は、期限の利益喪失条項は不要です。

借用書サンプル(分割払いのシンプルなもの)

            借用書
鈴木一郎殿
私は、本日、貴殿から金100万円をお借りしました。
お借りしたお金は2019年5月から2020年2月まで毎月末日限り、金10万円ずつ分割してお返しします。
上記分割金の支払いを1回でも怠った場合は、残元金を一括で支払います。
2019年3月26日
住所 大阪市北区西天満○-○-○
氏名 山田太郎 印

借用書作成の心構え

・すべて手書きでも構いませんし、ワープロ打ちでも結構ですが、借主の住所と名前は本人に自筆で書いてもらいましょう。代筆はだめです。お金を貸すときに目の前で借主に署名をしてもらいましょう。
借主の押印は必須ではありませんが、あったほうがよいでしょう。実印がベストですが、実印の場合は印鑑証明書ももらっておくとなおよいです。
住所は借主から返済がなく、後日裁判にする場合に必要となりますので、借主に書いてもらいましょう。
・いつ貸したかは重要な要素ですので、貸した日付は借主に必ず書いてもらいましょう。
・お金を貸すときは現金手渡しのことも多いと思いますが、金額が大きくなるときは銀行振込にしたほうが明確な証拠が残ります。金額が多い場合は銀行振込をおすすめします。現金手渡しはトラブルの元になることが多いです。
・借主からの弁済もできれば銀行振込で受け取ったほうが明確でトラブルが少ないでしょう。
・弁済金を現金で受け取るときはトラブル防止のために、いつ、何円受け取ったかのかが分かる受取証を発行して、借主に交付しておきましょう。

借用書を作っていなかった場合

 借用書を作っていなかった場合でも事後的に貸した金額、日付、弁済方法について念書などの形で作っても構いませんし、債務承認弁済契約書を作成して、事後的に弁済方法を改めて合意することもできます。ただ、これらの書面作成は借主の協力が必要となりますので、借主ともめているような場合は作成できないこともあります。なお、債務承認弁済契約書は、貸主と借主との合意文書、契約書になりますので、借用書とは法的性質が異なります。
 一番よい方法は、債務承認弁済契約書を執行認諾文言をつけた公正証書で作成することです。手続費用がかかりますが、これにしておけば借主が弁済を怠ったときは直ちに強制執行することができます。100万円を超えるような多額の貸し借りであれば、公正証書作成をおすすめ致します。

この記事を書いた人

弁護士多田大介

代表弁護士 多田 大介

依頼者との信頼関係を第一に考え、信頼関係に基づき、迅速なサービスを提供致します。おかげさまで大阪弁護士会に弁護士登録して今年で17年目です。趣味はSFやホラーなどの海外ドラマを見たり、歴史の本を読むことです。
代表弁護士 多田大介(登録番号31516)