離婚手続の種類について

弁護士が関与できる離婚手続

離婚の方法は主に3つあります。以下、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の各手続についてご説明致します。それぞれの段階で弁護士に依頼することは可能です。

■協議離婚

 離婚届に必要事項を記入し、夫婦が署名押印し、役所に届け出れば、受理された時点で離婚が成立します。夫婦に未成年の子どもがいる場合、離婚の届出の際に親権者をいずれにするかを決める必要があります。
 財産分与、慰謝料、養育費など、離婚に付随する金銭請求については、夫婦で合意する必要があります。文書を作るかどうか、文書を公正証書にするかどうかは自由ですが、支払いを受ける側は公正証書にしておいたほうがより安心でしょう。離婚の公正証書の作成に弁護士が関与することは可能です。
 財産分与請求権については、離婚から2年間で時効にかかります。慰謝料請求権についても原則、離婚から3年間で時効にかかりますので、離婚時にこれらの合意をしていない場合は注意が必要です。
 協議離婚を求める段階での受任であっても、あくまで弁護士は一方当事者の代理人として活動します。夫婦の間に入って調整してほしいという相談もよくあるのですが、離婚事件に関して、弁護士が夫婦双方からの依頼を受けることはできませんのでご了承下さい。

■調停離婚

 夫婦間で離婚の協議がまとまらない場合は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に離婚調停の申立をすることができます。いきなり離婚訴訟を提起することはできず、まず調停から始めなければなりません。調停にあたっては申立書の作成から弁護士に依頼することもできます。
 離婚調停には、強制力はなく、あくまでも当事者間の話合いによって解決を図るものですので、夫婦が納得した上で問題となっている事項について合意する必要があります。
 ただ、第三者である調停委員が間に入ることによって冷静に話し合いが進むことも多く、これにより速やかな解決が図られます。
 もっとも、夫婦間の感情的な対立が激しい場合や親権などどうしても譲れない点がある場合は、調停での解決は難しいといえるでしょう。
 調停段階では弁護士をつけずに、当事者のみで手続が進められることも多いですが、複雑な法的問題点がある場合や夫婦間の対立が深刻な場合などでは調停段階で弁護士が付くこともよくあります。また、相手方に弁護士がついた場合は、弁護士に依頼することも検討すべきです。

■裁判離婚

裁判離婚

 離婚調停が不成立に終わった場合、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に対して離婚訴訟を提起することができます。
 ただし、判決によって離婚が認められるためには、離婚原因(民法770条)がなくてはなりません。訴訟を提起しようとする側は、離婚原因が存在するかどうかを過去の裁判例を参考にしつつ、具体的ケースに即して判断していく必要があります。ただ、被告側も離婚を望んでいる場合は、婚姻を継続しがたい事情があると言えますので、この場合は離婚原因があることになります。
 なお、夫婦の性格の不一致などで別居しているようなケースでは主だった裁判上の離婚原因が認められない場合がありますが、このような場合は、調停終了後、数年間の別居を継続することで婚姻関係が破綻しているとして、裁判上の離婚原因となる場合があります。ただし、何年間別居すれば裁判上の離婚原因となるのかは、一概には言えず、ケースバイケースとなります。
 離婚訴訟に関しては、法的な主張の組み立てや証拠の取捨選択、整理などが必要となりますし、また、当事者だけで行うには時間的、精神的な負担が大きく、弁護士が代理人に付くケースがほとんどです。 

この記事を書いた人

弁護士多田大介

代表弁護士 多田 大介

依頼者との信頼関係を第一に考え、信頼関係に基づき、迅速なサービスを提供致します。おかげさまで大阪弁護士会に弁護士登録して今年で17年目です。趣味はSFやホラーなどの海外ドラマを見たり、歴史の本を読むことです。
代表弁護士 多田大介(登録番号31516)