会社破産するとき、代表者がやるべきこと・やってはいけないこと

会社の経営が行き詰まり、破産を検討する場合、代表者は申立てまでに何をすればよいのでしょうか。
会社の破産手続では、裁判所が選任した破産管財人が会社の財産を調査し、換価・処分します。そのため、破産申立前に代表者が会社の財産を勝手に処分したり、一部の債権者だけに返済したりすると、後で問題になることがあります。
一方、必要な資料を整理し、会社の財産を適切に保全しておけば、破産手続を円滑に進めやすくなります。
この記事では、会社の代表者が破産申立前にやるべきことと、やってはいけないことを解説します。

1 破産申立前にやるべきこと

① 会社の財産を把握する

まず、会社にどのような財産があるかを確認しましょう。
預貯金、現金、売掛金、在庫商品、機械、車両、保険の解約返戻金などが対象になります。
特に売掛金については、取引先、金額、入金予定日などを整理しておくことが重要です。
また、会社の財産と代表者個人の財産が混在している場合は、その区別を明確にしておく必要があります。

② 帳簿や通帳などの資料を保管する

破産管財人は、会社の財産状況や過去の取引を調査します。
そのため、決算書、総勘定元帳、預金通帳、請求書、契約書などの資料を保管しておきましょう。
会計データをクラウドサービスなどで管理している場合は、サービスが利用できなくなることも考えられるため、必要なデータを保存しておくことが望ましいです。
資料が不足していると、破産管財人による調査に時間がかかることがあります。

③ 売掛金の入金予定を確認する

事業を停止しても、それまでの取引による売掛金が後日入金されることがあります。
売掛金は会社の財産ですので、入金予定を把握し、適切に管理する必要があります。
特に注意したいのは、借入れのある金融機関の口座に売掛金が入金される場合です。
預金と借入金が相殺される可能性があるため、入金予定について弁護士に説明しておきましょう。

④ 店舗や事務所の状況を整理する

店舗や事務所を借りている場合、賃貸借契約の内容を確認しておきましょう。
特に、解約予告期間、原状回復義務、敷金の有無などが重要です。
店舗内に什器や設備が残っている場合は、所有者を確認し、リース物件と会社所有の物件を区別しておく必要があります。
店舗の明渡しが完了していない場合でも破産申立ては可能ですが、明渡しや残置物の処分が必要になると、管財人の業務が増えるため、予納金が高くなることがあります。

⑤ 早めに弁護士へ相談する

会社の財産をどのように管理するか、取引先や従業員にいつ事業停止を知らせるかなどは、会社の状況によって判断が異なります。
事業を停止する前に弁護士へ相談できれば、従業員への対応、売掛金の回収、店舗の明渡しなどについて計画的に準備できます。
既に事業を停止している場合でも、できるだけ早く相談することが重要です。

2 破産申立前にやってはいけないこと

① 特定の債権者だけに返済する

会社の経営が行き詰まった後、親族や知人からの借入金だけを優先して返済することは避けるべきです。
破産手続では、債権者を公平に取り扱うことが原則です。
特定の債権者への返済は、後に破産管財人から否認され、返還を求められる場合があります。
もっとも、破産申立前の支払いがすべて禁止されるわけではありません。従業員の給与や事業停止に必要な費用などについては、個別に検討する必要があります。

② 会社の財産を安く売却したり、無償で譲渡したりする

破産申立前に、会社の車両、機械、在庫、店舗の造作などを不当に安い価格で処分することは問題になります。
特に、代表者の親族や知人などに無償で譲渡した場合、破産管財人から返還や損害賠償を求められる可能性があります。
一方、適正な価格で売却すること自体が禁止されているわけではありません。
ただし、売却価格が適正かどうか、売却代金をどのように管理するかなどを慎重に検討する必要があります。
会社の財産を売却する場合は、事前に弁護士へ相談しましょう。

③ 会社のお金を私的に使う

会社の預金や現金を代表者個人の生活費、遊興費などに流用することは避けなければなりません。
会社のお金を私的に使用した場合、破産管財人から返還を求められたり、代表者の損害賠償責任が問題になったりすることがあります。
また、代表者自身も自己破産する場合には、免責の判断に影響する可能性があります。
会社の財産と個人の財産は、明確に区別して管理することが重要です。

④ 帳簿や資料を破棄・隠匿する

会社の経営状況が悪化したからといって、帳簿や取引資料を廃棄したり、財産の存在を隠したりしてはいけません。
破産管財人は、会社の財産や取引状況を調査するため、代表者に資料の提出や説明を求めます。
資料の隠匿や虚偽の説明は、破産手続を妨げるだけでなく、場合によっては法的責任を問われることもあります。
不明な取引や使途不明金がある場合でも、事実をそのまま弁護士に説明することが重要です。

⑤ 弁護士に相談せず新たな借入れをする

既に返済の見込みがないにもかかわらず、新たな借入れを行うことは問題になる場合があります。
特に、破産することを予定しながら、返済できるかのように説明して融資を受ける行為は、詐欺などの問題に発展する可能性があります。
また、破産申立前に会社の財産を担保に入れることについても、慎重な判断が必要です。
資金繰りが厳しくなった段階で、追加融資を受けるべきかどうかも含めて弁護士に相談しましょう。

3 会社の代表者も自己破産する必要がある?

会社が破産しても、代表者が必ず自己破産するわけではありません。
株式会社と代表者個人は法律上別の存在であり、原則として会社の借入金を代表者が返済する義務はありません。
ただし、中小企業では代表者が会社の借入金について連帯保証をしていることが多く、会社が破産すると、代表者個人にも多額の保証債務が残る場合があります。
そのため、会社と代表者が同時に破産申立てをするケースも少なくありません。
代表者が会社のお金を私的に使用していた場合や、会社から多額の借入れをしていた場合には、会社と代表者の間の債権債務関係についても確認する必要があります。

4 まとめ

会社の破産申立てを検討している場合、重要なのは、会社の財産を適切に保全し、勝手な処分や一部の債権者への返済を避けることです。
また、帳簿や通帳、契約書などの資料を整理しておけば、破産手続を円滑に進めやすくなります。
会社の状況によって、申立前に処理した方がよい事項と、破産管財人に引き継ぐ方がよい事項は異なります。
大阪で会社の破産を検討されている方は、財産の処分や債権者への支払いを行う前に、弁護士にご相談ください。

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この記事を書いた人

弁護士多田大介

代表弁護士 多田 大介

依頼者との信頼関係を第一に考え、信頼関係に基づき、迅速なサービスを提供致します。おかげさまで大阪弁護士会に弁護士登録して20年が過ぎました。趣味はSFやホラーなどの海外ドラマを見たり、歴史の本を読むことです。
代表弁護士 多田大介(登録番号31516)