債務整理の手続の流れ

■債務整理を弁護士に依頼した場合、どのように手続きが進むが不安な方もいらっしゃると思います。そこで、債務整理事件を当法律事務所にご相談頂いてから、解決するまでの流れをご説明します。

1)債務の総額、家計収支などの聞き取り

 弁護士が依頼者から債務総額、債権者数、家計収支、今後の生活をどうするかなどの事情を聞き取り、個別の事案に沿った適切な手続を選択します。なお、債務総額が不明な場合などでは、受任通知発送の段階においてどの手続をとるかを保留にしておくことも可能です。
 例えば、当初、任意整理を予定していても、債権調査の結果と今後の収支予定とを検討した結果、弁護士と依頼者が相談した上で、自己破産や個人再生に変更することもあります。

 最初の打ち合わせには、どこからいくら借りているかがわかる債権者一覧表を手書きで結構ですので作成いただくと打ち合わせがはかどります。また、債権者に受任通知を発送する関係で債権者の住所がわかる資料、たとえば、契約書、請求書、明細書、カード類などをご持参ください。

2)各債権者へ受任通知の発送

 原則、依頼を受けたその日に(遅くとも翌日には)弁護士から各債権者に宛てて受任通知を発送致します。
 受任通知とは、債務整理に関して弁護士が代理人となった旨の通知のことです。受任通知には処理方針として自己破産、個人再生、任意整理のどれかを特定して記載することも、処理方針が決まっていない場合は、特定せずに債務整理を受任したとだけ記載することもできます。
 弁護士による受任通知が各債権者に到達した時点で、債権者から債務者に対する請求はすべてストップします。この時点で債務者が債権者からの電話や訪問を受けることが一切なくなります。以後は、債権者との連絡はすべて受任した弁護士が行うことになります。受任通知発送により、一旦、返済の必要はなくなりますので、生活の立て直しを図っていきます。

 債権者からの督促が激しく、精神的に追い込まれている場合などは一刻も早く受任通知を発送する必要があります。受任通知の発送、到達により、落ち着いた生活を取り戻すことができます。

3)債権調査票と取引履歴の収集

 受任通知と同時に債権者に対して取引明細書、債権調査票の提出を依頼します。
 利息制限法の超過がある貸付があった場合は、取引履歴が開示された後、利息制限法に基いて引き直し計算を行います。引き直しの結果、過払金が発生している場合は、当該債権者に対して、弁護士が代理して過払金の返還請求を行います。過払金があることが判明した場合は、直ちに返還請求に着手します。

4)手続の進行

 任意整理であれば、この段階で依頼者が準備することは特にありません。
自己破産、小規模個人再生の場合は、必要書類を集めて頂くことになります。裁判所に対する申立書類につきましては、弁護士が作成することになります。受任から申立までは準備に通常3~6か月程度かかります。この間、依頼者には弁護士との打ち合わせのために当事務所まで2~5回程度は来て頂くことになります。

5)手続の終結

 任意整理の場合は、各債権者と和解契約を締結しますので、契約内容に応じて、依頼者自らが分割払いを開始することになります。和解契約に基づき全債務を完済して事件としては終結となります。
 自己破産の場合は、裁判所に自己破産の申立てをし、破産開始決定、免責許可決定を得て終結します。同時廃止事件の場合、自己破産申立てから免責許可決定までは2か月程度かかります。同時廃止の場合、原則依頼者の裁判所への出頭は不要です。破産管財事件の場合は終結まで最低でも3か月以上はかかります。
 小規模個人再生の場合は、裁判所に個人再生の申立てをし、裁判所による再生手続開始決定、再生計画認可決定を得てから、依頼者自らが分割払いを開始することになります。申立から認可決定までは3、4か月程度かかります。依頼者が裁判所に出頭する必要はありません。再生計画に基づく分割払いをすべて終えて事件としては終結します(通常は3年)。支払いの管理は依頼者で行うことになります。

 いずれの手段をとるにしても、債務関係と財産関係の調査は必須となり、債務者(依頼者)の協力がなければ手続きは進みません。財産を隠したり、裁判所に対して虚偽の報告をしたりすれば、免責が受けられないばかりか、犯罪となる場合もあります。このように、債務整理手続においては、弁護士と依頼者との信頼関係が非常に重要であり、当事務所では、依頼者との綿密な連絡、打ち合わせのもとに手続きを進めております。

この記事を書いた人

弁護士多田大介

代表弁護士 多田 大介

依頼者との信頼関係を第一に考え、信頼関係に基づき、迅速なサービスを提供致します。おかげさまで大阪弁護士会に弁護士登録して今年で17年目です。趣味はSFやホラーなどの海外ドラマを見たり、歴史の本を読むことです。
代表弁護士 多田大介(登録番号31516)