任意整理における消費者金融等の対応

東京三弁護士会統一基準とは

クレジット・サラ金処理の東京三弁護士会統一基準とは①貸金業者に対して最初の取引からの全取引経過の開示を求めること②利息制限法に引き直し債権額を確定すること③和解案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金、並びに将来の利息は付けないことというものです。

平成8年、東京三弁護士会の法律相談センターが定めたもので、弁護士が任意整理に取り組むにあたっての統一的な処理方針を示したものです。その後、同基準は平成12年に日本弁護士連合会における多重債務者救済事業拡大に関する協議会において採択され、全国的な統一基準として確認され現に運用されています。

しかし、現状においては①②は当然に通用していますが(法律上の根拠があるため)、③については法律上の根拠はなく、強制することはできないため、守らない債権者が増えてきています。少なくとも大手の消費者金融に対しては完全に有名無実化しています。かつては利息制限法超過の貸付があったために貸金業者もあまり強気に出られなかったという事情がありましたが(任意整理においては利息制限法による引き直しの結果、弁済総額を減額するのが当然という状況にありました)、現状は契約上認められている権利は当然に行使するという態度になっています。ただし、将来利息についてはよっぽどのことがない限りカットしてくれます(たとえば借入後1回も返済がない場合などは将来利息付加での和解しかできないことがあります)。

大手消費者金融との和解の現状

大手消費者金融(アコム、プロミス、アイフル、レイク)は和解日までの経過利息、遅延損害金の付加なしでは和解に応じない状況にあります。また、任意整理までの取引期間の短すぎると(1年未満)、将来利息の付加も要求してくる場合があります。特にアコムについては和解の条件が厳しく、債務者の収入支出の状況を詳しく確認し、家計に少しでも余裕があるとアコム側で判断すると、弁済期間の短縮を求められます(他社で60回払いが認められるケースでも48回払いしか受け付けないなど)。ポケットカードは元金で和解できることが多く、良心的ですが、受任通知から和解まで3か月以上かかると訴訟予告をしてくることがあるので注意が必要です。モビットも元金で和解可能ですが、早めに和解をしないと訴訟予告をしてきます。

銀行系のカードローンについて

三井住友銀行カードローン、バンクイック(三菱UFJ銀行カードローン)、みずほ銀行カードローン、楽天銀行スーパーローンなどの銀行系のカードローンはアコム、プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)、オリコ、楽天カードなどが保証していますので、銀行系のキャッシングを任意整理するとこれらの会社が代位弁済をしますので、これらの会社と交渉し和解することになります。代位弁済の場合のほうがプロパーの借入の場合より、若干、和解の条件は緩くなっているようですが、和解日までの経過利息は基本的に請求してきます。なお、楽天カード、オリコについては代位弁済元金額で和解に応じてくれることが多いです。

信販系及び流通系クレジットカードについて

楽天カード、セディナカード、オリコカードなどの信販系クレジットカードやエポスカード、セゾンカード、イオンカードなど流通系クレジットカードでのキャッシング利用については、任意整理に関して良心的対応で基本的には経過利息なしの元金分割払いに応じてくれます。また、回数についても柔軟に判断してくれますので、返済可能額に応じて長期分割も可能です。楽天カードは受任通知到着から3か月までは元金額での和解に応じてくれますが、これを経過すると経過利息と損害金の付加を要求されますので早めに和解する必要があります。

この記事を書いた人

弁護士多田大介

代表弁護士 多田 大介

依頼者との信頼関係を第一に考え、信頼関係に基づき、迅速なサービスを提供致します。おかげさまで大阪弁護士会に弁護士登録して今年で17年目です。趣味はSFやホラーなどの海外ドラマを見たり、歴史の本を読むことです。
代表弁護士 多田大介(登録番号31516)